「家康、江戸を建てる」  門井慶喜

私はタイムマシーンで過去に戻ることができるのなら
まず 江戸時代に行ってみたいものだと思っている。

現代の文化や風習の元になったのは
江戸時代からのことが多いし
何より 一つの政権が250年以上も続いたのは
驚異に値することだと思う。

この本では
私がこれまで江戸の起こりについて感じてきた
様々な疑問を かなり解明してくれていて
とても楽しく読むことができた。
歴史書ではないので
フィクション部分も多いのだろうが
根本的なことは史実に基づいているのだと思う。

荒野だった江戸の地を干拓し
利根川の流れを替え
貨幣制度を確立し
そして 江戸城を建てた。

実際に活躍したのは
ここに登場する 今の歴史の授業には
ほとんど出番のない人達だけれど
おそらく 家康は自分でおおまかな案を練り
実行する人物も選んだのかもしれない。

江戸城跡は
まだ見学したことがないのだけれど
この本を読んだ後でなら
じっくり感慨にふけりながら眺めることが
できそうだ。。。











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「竹島」  門井 慶喜

「竹島」とは
そのものズバリの すごいタイトルだなあと思い
読むことにした。

真剣に竹島問題を論じる~という内容ではないが
それでも ある程度の本質はついているのではないかと
思われる部分もある。
領土問題は 日韓や日中だけに限らず
世界中至る所で長年繰り広げられ
その多くは いつ解決するとも思われない状況なのだと思う。

だいたい
領土という観念は 昔は主観的なものであったと思われるので
初めてその地に 住み始めた人の国の物となってしまう。

竹島には 木も草もなく 哺乳類もいない。
ただ三角岩があるだけ~のようだ。
19世紀に ここを通りかかったフランス捕鯨船リアンクール号の船員たちは
これを見て「リアンクール岩」と名づけたという。
そう 島ではなく 岩なのかもしれない。
この島の大きさは たった 0.2平方キロ。
なぜ 取り合いをするのか?

この物語では 一人の青年 土居健哉が 獅子舞を見せに行った先で
竹島に関する重要な書面を持つ人物・坪山と知り合う。

日本と韓国による領有権争いに完全に決着をつける歴史的資料~
坪山が先祖から受け継がれてきた書面とは そういう価値のあるものらしかった。

健哉はこれを金儲けに利用しようとする。。。
だから この話は 領土問題を描くというよりは
この書面にまつわる 駆け引きが主なので
結局 内容についての解釈は あまり深く追求されていない。

それでも これまでほとんど知らなかった 竹島についての情報を
少しは知ることができて良かったと思う。

結局 こういう問題は
おいそれとは解決しえないのだ。
各国の思惑 政治の駆け引きの際の 隠し玉みたいなものなのかなあ~
たった70年前の戦争の真実でさえ はっきりしないというのに
遠い昔の出来事など 今さら 誰にも明言できないのだと思う。







「東京帝大叡古教授」  門井慶喜

物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる"知の巨人"である。
その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。


↑は 出版社による解説文であるが
私には 主人公は タイトルにもなっている叡古教授ではなくて
彼に振り回され 多大な影響を受けた 一人の学生の方なのだと思えた。

この作品中では その学生は 叡古教授が勝手につけた名前「阿蘇 藤太」が使われていく。
そして ラストに本名が明かされるのだが。。。
すみません~(・_・ゞ-☆ 明治時代の歴史に疎い私は
その実名を知っても 実在の人? と ネットでチェックするほど。

確かに 明治~昭和を駆け抜けた 政治家 「重光葵」とは有名な方のようだ。
ここに登場する政治家 や 政治上の出来事は 作り事ではない。
ここで起きた殺人事件は? 作者の創造した出来事なのか そうでないのか?

政治問題がからんでいるので
ちょっと難しい部分もあり
それでも これまで あまり知らなかった日露戦争の次第など
少しは理解できたかもしれない。

キャラクター的に
楽しい部分もあるが
やはり 歴史の重みを ずっしりと感じられる作品だった。



「血統 ペディグリー」  門井嘉信

門井慶喜の作品はたくさん読んできたが
どれも明るい作品だったので 油断していた。。。

これは シビアで重いテーマの作品であった。
読み始めても どういう展開をするのはまるでわからない。

主人公「時島一雅」は 祖父・父共に有名な日本画家であり
本人も美大を卒業しているが 父・祖父達の重荷につぶれそうで
今は 「有限会社ペット・ペインティング」の社長であり
絵画制作師とも名乗っている。

彼はネットであるブリーダーと知り合う。
そのブリーダーは 真っ白なダルメシアンを飼育している。
ダルメシアンとは あの百一匹ワンちゃんにも登場する 白地に黒いスポットのある犬だ。
だから 真っ白なダルメシアンは変種なのである。

さて これからは 書いてしまうとネタバレになるので
自分の記録しては書いておきたいものの~
やはり やめておこう(笑)

意外な展開になっていく。(悪い方へ)

ありえない話でもないので 読んだ後も
不安感が残る作品だった。



「小説あります」  門井慶喜

主人公・老松郁太は 父親の経営していた大企業の社長の座を
父親の死後 弟に譲り
地元のN市文学館の嘱託として勤務している。
だがその文学館が閉館となりそうで…

彼が古書店で「徳丸敬生」という作家の遺稿集に目を留め
遺稿集であるにもかかわらず 著者本人のサインが書かれているのを発見する。
この文学館は元 徳丸敬生の家だったのだ。

徳丸敬生は富士樹海で自らの命を絶ったと言われているが
確認されてはいない。

この謎に挑戦する郁太だが
一方弟である勇次と言葉による戦いを繰り広げることになる。
「人はなぜ小説を読むのか」を弟に納得させることができれば
文学館の閉鎖も食い止められるかも~

このやり取りは 本好きの私には結構楽しかった。
私も常日頃 自分が何故こんなに小説を楽しめるのか
そして 夫はなぜ全く小説を読まないのか?の謎について
考えていたりもするから…

「おさがしの本は」に登場する「和久山」も再び顔を出してくれるのも楽しい。







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