「孤愁 SAUDADE サウダーデ」新田次郎・藤原正彦

久しぶりに長篇を読んだ。

軍人・ポルトガル領事・高校教師・文筆家など 様々な方面で活躍した
ポルトガル人・モラエスの半生を描いたもの。

新田次郎は 山岳小説ばかり書かれているのかと思っていたが
この作品前半は 彼が亡くなる直前まで 新聞に連載していたもので
すでに昭和55年に出版されている。
そして それから 32年の歳月を経て 息子である藤原正彦が
後半部分を執筆されたのである。
私は 日本を愛したモラエスの生涯自体も とても興味深く 楽しく読むことができたが
それと共に この二人の親子のモラエスへの熱い想いが
じ~んと伝わってくるような気がして 感慨深いものがあった。

モラエスは
明治時代~大正~昭和にかけて 日本で暮らしたポルトガル人であるが
一番活躍したと思われる地である神戸においても
いまや あまり知られていないと思う。
神戸市の中心街にある公園には 彼の像があるとはいうものの
以前からモラエスに興味があった私でさえ いまだ見に行ってはいない。

モラエスはマカオの軍部に勤めていたが
やがて 神戸の領事となり 神戸で暮らすようになる。
マカオには中国人の妻と彼らの子がいたが 妻が日本へ行くのを拒否したので
単身でやってきた。

初めに長崎に着き 船で神戸へ~
マカオ 長崎は 最近旅した場所であり
そして 神戸は私の生まれ育った町
こんなに 自分のよく知っている界隈が 作品に登場するのは稀であり
そういう意味でも とても楽しめた。
神戸では バリバリと仕事をし、愛する妻・およねとの仲睦まじい暮らしぶりが
丁寧に描かれている。

彼が日本にいる間に
日清・日露戦争が勃発し 外国人というだけで変な目で見られたりするなど
国際関係においても様々な影響を受けていた。

大正時代になると 第一次世界大戦もあり
あらためて 大変な時代だったのだなあと思う。

モラエスは およね亡き後
腑抜けのようになるが それでも 新しい女性とめぐり合ったり
およねの故郷である 徳島で彼女の姪・コハルと一緒に暮らしたりと
彼の周りには たえず女性の存在があったようだ。
晩年は 淋しく一人暮らしをし およねとコハルの墓参りを日課としていた。

日本を愛し
日本に精一杯溶け込もうとしたモラエスの生涯を
じっくりとたどっていくことができて 満足でした。

私は マンドリン合奏で
「モラエス通り」という曲を弾いたことがある。
徳島にあるこの通りを いつか 歩いてみたいな~
いや それよりも 先に 近くのモラエス像に会いに行かなくては…





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