「少女探偵は帝都を駆ける」 芦辺 拓

昭和の初期の大阪で
女学生の鶴子が 知り合いの新聞記者である宇留木と共に
殺人事件を解決していく 楽しいストーリー。

事件そのものは 他のミステリーと似たようなものだけれど
昭和初期の政治背景や 大阪の様子など
関西人としては とても興味深く読むことができた
そして 鶴子のキャラクターも 明るく 頭の回転が速く
それでいて 大人ぶってなくて とても いい感じ~

今現在 日本中どこででも
古い建物が 脚光を浴びて 色々に利用されているが
私もよく知っている 大阪の公会堂などが 登場してくると
ああ この建物ができた頃は こういう時代だったのだなあと
感慨深いものがあった。


往年のスター エノケン氏(もちろん現役時代も知っている)
テレヴィジョン試作品など
遠い昔のようで でも昭和に生まれ育った私には
ノスタルジックな想いをかきたててくれる 要素がいっぱいの作品だった。






「小暮荘物語」  三浦しをん

彼女の作品は アンソロジー以外では 初めてだと思う。
29歳にして 直木賞受賞という輝かしい経歴を持つようだが
そういう先入観なしに 読めた。(名前しか知らなかったら…)

小暮荘という古いアパートの住人の日々の暮らしが描かれているが
彼ら住人たちは 私の目から見れば 普通のようで 普通でないような…

たとえば
花屋に勤める繭には 半年前からの恋人がいて
時々小暮荘にも泊まりに来るが そこへ 3年前にふらりと旅立った 元恋人が
戻ってきて 奇妙な3人の同居が始まったり~

小暮荘のオーナーである 小暮は70歳を過ぎてはいるが
急に セックスをしたくなる…
妻には相手にされなかったので 近くの小暮荘に大家として住み込むことにした。
この年になって あれこれ相手を求める姿が 哀しいというか~

小暮荘の近くに住む美禰はトリマーである。
ある日 美禰は駅のホームの柱に 不思議な突起を見つける…
それを縁に知り合った男性は どうやら ヤーさんらしい~

小暮荘に住む繭の勤め先の花屋は オーナーのご主人の喫茶店と繋がっている。
そのご主人がどうやら浮気しているようで…

小暮荘の2階に住む神崎は覗き魔である。
床下の節穴から階下の女子大生の暮らしをずっと覗くようになる。
これでは ただの変態だが・・・
面白いのは この覗きに気づいた女性が 下から話しかけ
それから 不思議な交流が始まるのであった~

それぞれの住人同士は特に交流はないのだけれど
この作品では 一歩下がって 全体を眺めている視点から
描かれているので 楽しい。

私から見れば 奇妙な人達だけれど
なんだか 愛せそうなキャラクターばかりだ。




「白い夏の墓標」帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)

作者は
東大医学部卒 その後九州大学医学部に~
そして 今は 医師でもあり 小説家でもある 団塊の世代である。
お医者さんが小説家~というパターンは何人か知っているが
彼は 東大仏文科卒なので 納得できる。

ウイルスが化学兵器となりうるという恐怖は 
現実味があって 最も恐ろしいテーマだと思う。
究極のシリアスな課題を取り上げながらも
主人公が もう一人の主人公でもある 医学生時代の仲間・黒田の
過去を辿っていく・・・という 情緒的な部分もあり
充分読み応えのある作品であった。
ウイルス系の小難しい理論は
到底理解できないので 読み飛ばすしかなかったが~

「抒情と戦慄のサスペンス」という裏表紙の謳い文句は
納得できる。
読んだ後に 温かみの残る作品だと思う。





「切れない糸」  坂木 司

前回読んだ 坂木司の作品は 宅急便やさんが主人公だったが
今回は 町の 昔ながらのクリーニング屋さん。

店主であった父親が急死し
大学卒業間際の息子が 新井クリーニング店で働くようになる。
母親やアイロンがけ名人のシゲさんや 気のいいパートのオバサントリオの
手助けで なんとか 一人前になろうとしていく…

マニュアル通りのチェーン店ではなく
情もあり おせっかいもする クリーニング屋さんである。
友人の沢田と一緒に ご近所のお得意さんの 悩みを解決していったり~
のんびりムードではあるけれど たいくつせず読むことができた。

実家の母のところへも
何十年前からのクリーニング屋さんが 訪れている。
我が家が引越しする前から ずっと~
母は一人暮らしなので 今さら クリーニングに出すものも
少ないと思うのだけど…

私自身は ほとんど家で洗える素材のものしか買わないので
たまに チェーンのクリーニング屋さんに出すくらいだ。

子供の頃は
当たり前だった 八百屋さんやお米や屋さんの御用聞き
懐かしいものとなってしまった。
「御用聞き」と言う言葉も 消えていってるのだろうな~




「カラス」   杉田 昭栄

そろそろ 鳥たちの繁殖期がやってくる。
今年は まだ 近所のカラスの横暴には遭遇してないが
例年 春先からしばらくは ゴミ荒らしの嵐~ (・_・、)

頭の良いといわれている カラスの生態を知ることは
ゴミ荒らし対策者としては 重要事項なので
この本を読むことにしました。

今まで知っていることが ほとんどだし
ゴミ荒らし対策というよりは
畑荒らしを防ぐ対策の方に重点がおかれているので
全て参考になるわけではないけれど
それでも カラスの習性 その学習能力には
改めて びっくりする箇所も多かった。

キラキラグッズや 案山子や 音などの威嚇攻撃も
しばらくは 効果があるものの
すぐに馴染んで 脅威とみなさなくなるようで…
やはり あの手この手でせまるより他ないようです。




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